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静岡浅間通り常夜燈 ~保存と修復~ 完結編

ブログ

今日は令和6年の4月5日。静岡の”おまち”では、今日から「静岡まつり」始まっています。

第一回、第二回目と続いてきた常夜燈ブログも今回で完結です。静岡浅間通り商店街の入口「赤鳥居」横の常夜燈を、昨年6月に解体・お預かりして修理を続けてきましたが、ついに完工となりました。

>>第一回はこちら<< >>第二回はこちら<<

■ 保存と修理 ⑧漆工事

さて、いよいよ修理も大詰め。仕上げの漆工事に入ります。今回この常夜灯において、漆を塗ることになった部位はこちら

先回、銅板で葺かれた屋根です!

漆は 温度と湿度が高くないと乾燥しません(高すぎてもよくありませんが)。作業を行ったのが1~2月にかけてだったので、寒いし乾燥しているため一年で一番乾燥に向いていない時期でした。

という理由で、作業中のものはあまり見栄えのする写真がないのでスミマセン。屋根全体を覆う”室(むろ)”を立て、その中で温度を上げ、加湿することで漆を乾燥させました。

もともと銅板葺きで ↑↑ このような地金の色でしたが、、、

黒漆にて仕上げ、このようになりました。漆は屋外の直射日光には強くないため、徐々に剥離していってしまう運命ではありますが、銅に緑青が吹いて自身を保護するまで、美しく保護してくれます。

なお、このてっぺんにある宝珠(ほうしゅ)は、押し込むことによって中の木材が広がって抜けなくなるようになっています。

一発勝負に勝利!もう抜けません

■ 保存と修理 ⑨取り付けの準備!

第一回で度肝を抜かれたナゾの二枚重ねの縁板は一枚の立派なけやき板をぎちぎちにはめこみました。

塗りは完成。建具も高欄もとりつけ、いよいよ建物の形が整いました!

■ 保存と修理 ⑩取り付け工事

前日に大雨が降ったのと打って変わって晴天。絶好の工事びよりとなりました。

無事到着!

まずは、いままで常夜灯が乗っていた基壇の中に、今回の工事で使用しなくなった旧部材を収納します。柱や建具はもちろん、彫刻や銘文の入ったものもすべて収納します。

全てを収納。中は意外と広いんです。

改めて、取り付け場所はこちら。大村洋品店さんの目の前です。今日の工事の取材のために報道機関のみなさんも来ています。

吊り上げた常夜灯。下に付けているこのタコ足の正体は??!!

タコ足はとても重要な部材です。重さと基壇内部との接触によって常夜燈が動くのを防止する役割を果たします。ただ石の上に乗せるだけではおっかないのです。このように少しずつ下ろしていき、本体が下に着くまで慎重に下げます。

無事に据え付け完了です。かなり気を使いましたが、きちんと設置でき良かったです。

■ TV新聞でも取り上げてもらいました

翌日のとびっきり!静岡で放送されました。

江戸時代作成の『灯ろう』の修復終わる 4月以降ライトアップも 静岡市

また、新聞でも記事にしていただけました。

また、たいへんお世話になっている御方にお祓いをしていただきました。格別です。

■ 結びにかえて

さて、如何でしたでしょうか。

木工・金具・漆・板金等々、技法の分野ごとに分類をして、それぞれの仕事が組み合わさることによって一つの伝統的なものができあがっていくのがわかるような構成にしました。ひとりの職人だけではできることには限りがあります。だからこそ「すべての分野」において手を動かす人がいないと良いものは作れません。

お客さまももちろん、色々な人との関係性、そして今までの長い歴史・ご先祖さまたちがいるから今があると思うと、古いものを扱う仕事の重みがずっしりと感じられます。

それではまたブログでお会いしましょう。ありがとうございました!

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