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静岡浅間通り常夜燈 ~保存と修復~ 第二回

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皆さま2024年をいかがお過ごしでしょうか。前回にひきつづきまして、静岡浅間通り常夜灯の改修工事の様子。ご紹介していきます。

>>第一回はこちら<<

■ 保存と修理 ⑤木工事

いざ、当事業のかなめ、木工事に入ります。この常夜灯の主な材料は”けやき”。スギ・ヒノキに比べて重く、加工も手がかかりますが堅牢で木目の美しい材木です。

内部はかなり経年劣化が進んでいました。下は主な四本柱の根です。ほぞが残っているのは1本だけ、腐食も進んでいます。水にも強く硬いけやきも、徐々にこうなってしまうんです。

今のタイミングで工事をおこなうことがやはり適切だったと痛感しつつ、いよいよ加工を進めてまいります。

今回、すべての部材をあたらしく作り直すのではなく、継続使用が可能な部材についてはそのまま、もしくは修理をして使用しています。

とはいえかなりの経年劣化が見られるため、多くの部材は今後50年耐えうるかという視点から、交換となりました。

少なくとも、構造の骨格をなす部分についてはほぼ新しくし、たとえ化粧部材の損傷があったとしても大きな崩壊等には至らないよう、安全性について十分に留意しています。修理を終えれば、ふたたび道路脇に据え置かれ、風雨にさらされるという長い仕事がまっているからです。

だからこそ、部材の寸面や形状は ”オリジナルに準じ” ”形式を残す” ことを念頭におきました。

■ 保存と修理 ⑥常夜灯は屋根でもつ

皆さんご存じのとおり、雨が多く高温多湿、近年は亜熱帯化の様相を呈している日本列島において、屋根はたいへん重要な役割を果たしています。

今までの50年より、これからの50年の方が(あらゆる建物において)負担が大きい時代になるのかもしれません。

今まではスギの皮付き、すきまも多く、幅も一定していない材料でしたが、今回は同じスギで、きっちり葺きなおしました。

軒付けも無理やり曲げたものではなく、一材を削って”反り”を出しています。野屋根を貼り終えれば、次は銅板葺きです。

軒付の下端から始まり、一枚一枚銅板を切り、ピラミッドのように4面それぞれを葺いていきます。

屋根の4面にピラミッドができたら、それぞれを隅棟の上でハマグリとよばれる方法でつないでいきます。これも大きさの異なる銅板を手で切り出してつなげます。

全体が葺かれたら、最後にてっぺんに露盤と宝珠が据えられるのですが、それはまた次回ご紹介します。

■ 保存と修理 ⑦錺金具

錺金具は名脇役。

装飾的な意味合いはもちろん、釘を隠したり、間を整えたり、たてよこのバランスを良く見せる役割など大切な仕事をしています。

この常夜灯には大小およそ270枚程度の錺金具が取り付けられているんですが、写真をならび立てても面白みに欠けるということで、あまり見ることのないアップの写真を掲載します。

見どころとしてはまずはその意匠(唐草や雲)の構図、外側線のかたち、すじ彫り・蹴彫り、ツブツブに打ってある”魚々子(ななこ)打ち”の丁寧さ といったところでしょうか。

ツブツブはひとつひとつ、人の手で打たれたことがわかる”むら”みたいなものがありますね。数センチの中にどのくらいの手間と工夫が凝らされているか、手づくり錺金具の妙ですね。

■ 次回で完結なるか!?

いよいよ修理も仕上げの段階に入ります。予定では令和6年3月中旬での完成を目指して日々作業を行っています。

ひきつづき >>「静岡浅間通り 常夜燈 ~保存と修理~ 完結編」<< ご覧ください

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