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鷺(さぎ)、まいあがれ! 水引幕「群鷺」

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こんにちは、祥雲です。

雨がちょっと多いですが、すっかり春めいた陽気。春祭りの時期がやってきました。

さて、今回はタイトルのとおり、水引幕「群鷺(ぐんろ)」が春祭りに合わせ完成したので、ご紹介したいと思います。

■ 萩大山車

阿久比町(愛知県)萩地区にある「大山車(おおやまぐるま)」は、明治44年(1911)に建立。110年以上の歴史をもつ山車です。

幕のページでもご紹介していますが、今回の事業に先だって「赤大幕」を新調しています。今回ご紹介するのは、その上に見える白い「水引幕」となります。

■ 幕ってなかなか難しい

いきなり弱音を言っているわけではなくてこれが本音です。

山車を構成する部材の中でも傷みやすく、管理が難しく、山車全体の雰囲気をまとめ上げるバランスで、ぴったり取り付ける。何気なく取り付けている幕に、山車飾りの集大成と言えるような要素が詰まっています。

特に今回は、刺繍を施す水引幕ですから、刺繍の色・配置、羅紗、金襴の合わせと、十分に検討する必要がありました。

■ 鷺

鷺(さぎ)はとてもよく見かける鳥で、私たちの生活にしっかり共生している生き物です。下の写真は、以前金沢で見かけた鷺の写真です

これは最近ジブリ映画に出ていたアオサギですね。

鷺は水辺の鳥として彫刻の題材になったり、今回のように刺繍幕になったりします。鷺は縁起物~というのはあまり聞きませんが、やっぱり田畑や水路で見かける生活の原風景の一部として人々が親しみをもっている生き物です。

■ 刺繍は絵的で、写実的?

生き物を題材にする場合は、できるだけ実物に近づける努力と、絵のようにデフォルメをかけて最終的な下絵に落としていく必要があります。本物の写真も参考にしながら、絵画に描かれたものも参考にします。

「こう表現したい、グラデーションをかけたい、こんな縫い方にしたら実物に近い表現ができるのではないか」等々、いろいろなやり取りしてできるだけ意思疎通をはかり、最後は手を動かす人に任せることになります。

■ 羅紗と金襴

さて、今回は生地となる羅紗が「みどり色」に決まりました。ブログを読んでいただいている皆さん、どんな「みどり色」にするか、考えてみてください。

「みどり色」で画像検索したらこんなんになってしまいました。

…結論から言うと、非常にむずかしいです。「正解はどこにもない」のが一点ものを作る難しさで、さらにこれに合う「金襴」を選び縫製・仕立ててようやく刺繍幕は完成します。

金襴はこの山車のために新規で織りました。ごらんの通り、雲の意匠ですが細かい柄の雲が欲しかったのです。「みどり色」は濃緑で、一色ベタに見えないよう工夫をしてあります。

■ 幕留めの金具

幕と金具、あまり関係なさそうに感じるかもしれませんが、実際はとても密接で、色具合や形状などよく考えなければいけません。今回は立体的な菊の金具で、あまりきらびやかにせず、重々しくなく、とはいえ安っぽい印象を与えないよう留意して制作しました

ただし、感じ方は個人個人で違うのでこればっかりはコントロールできるものではないのがまた難しいところです

■ 鷺、まいあがれ!

さて、お祭りを見に行って山車を眺めるとこんなふうに見えますね。白を基調とした鷺の刺繍が、「みどり色」の羅紗とのコントラストでかなり印象強く、華やかに舞っています。

赤大幕と、水引幕両方をセットで作らせていただいたのは実は今回が初めてです。色や大きさ、取り付け方法までお世話をさせて頂き、信頼し任せてくださった萩大山車の皆様に感謝です。

■ 番外編 幕の取り付け

幕の取り付けはとても繊細で調整が必要です。特に今回のように新しいものができると、”ちちぎれ”(幕上部で棒を通す凸凸凸になっている金襴)の位置が変わったり、多少の厚みの変化があります。そのため、ほとんど一から取り付け方法を見直す必要があります。今回も、従来の取り付け金具をいったん取り外し、幕に無理をさせないよう付け直し作業を行いました。

祥雲ではふだんから山車本体の修理やメンテナンスを行っていますので、事前に幕をどう取り付けるか決めておき、幕の適切な寸法を含め設計し、お客様のところにお届けしています。

お問い合わせ

山車・屋台・神輿の無料点検、修理、メンテナンスなど行っています。山車の健康診断(無料点検)・修理計画の作成や助成金申請のお手伝いもしていますので、お気軽にご相談ください。

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