神輿修理事例「平尾八幡宮」
平尾八幡宮は静岡県菊川にあるお社で縁起は古く、はるか奈良時代まで遡ります。戦国時代、高天神城の戦火により焼かれましたが、天正11年(1583年)に再びお祀りされました。拝殿は200年以上前のものです。
■ 調査とお預かり
寛政7年(1795年)建立の神輿。静岡県では二番目に古い神輿で、所在地の菊川市指定文化財。木箱に保管されていて状態は良好ですが、見た目以上に痛みは激しく、漆の剥落・金具の断裂などが見られました。このお神輿を車の停めてある石段の下まで運ぶのが恐ろしい作業だったのですが、それはまた別のお話。
■ 古い手仕事が見える瞬間
主な作業は漆の塗り直しと金具の修理。そして全体の木工事・組み直し。屋根は後補の弱い下地を剥がし、オリジナルと同じ堅地にてやり直す。古い仕事が見える瞬間です。
■ 漆塗り~地付けから上塗り~
文化財を守る漆の本当の価値は下地にあります。強靭な下地に守られ木質は数百年と保ちます。令和の時代まで神輿を守ってきた下地に負けないよう、丁寧な地付けが何より大切です。
塗って研いでを繰り返し、最大で35工程。数ミリの塗膜の中には想像もできないような仕事量が込められています。
■ 金具の修理
写真右手の曲線を描いた金具は、神輿四方のワラビ手金具。場所ごとに記録を取りながら破損状況を調べ、修理します。
■ 神輿は神さまの乗り物
綱や瓔珞(ようらく)と呼ばれる金具を新調し、塗り直し完成。御輿は正式な神さまの乗物で一段と高貴なものです。次の100年も末永くこの土地を見守ってくださることと思います。
お問い合わせ
神輿はお祭りでも一段と高貴なものにあたります。大切に引き継がれるため、修理についてはお気軽にご相談ください。また、祭礼用の可動式の台車・子ども神輿などの製作も承っています。
神輿等実績(一部)
静岡県菊川市「平尾八幡宮」
(修理)神輿解体保存修理
愛知県半田市「住吉神社」
(修理)神輿解体保存修理
静岡県静岡市「静岡浅間神社」
(修理)鳳輦保存修理
静岡県静岡市「静岡まつり」
(修理)御台所牛車
静岡県静岡市「井宮町」
(修理)神輿解体保存修理
静岡県磐田市「掛塚東町」
(新調)神楽台
静岡県静岡市「久能山東照宮」
(新調)奉納神輿