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今こそ、みんなで山車を点検してみよう

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こんにちは、祥雲です。

2021年も静かにスタートを切り春の訪れを待つばかりとなりましたが、今年もお祭り中止・延期という声が聞こえてきました。「お祭りしたい、熱気が恋しい、通りの向こうから聞こえる祭り囃子にソワソワしたい!」…にっぽん全国津々浦々、どこの祭人も同じ想いです。

そして何よりも大切な「お祭り文化を人から人へ、伝統を繋げたい」…お祭りと地域のことを真剣に考えている人がたくさんいます。

でも、お祭りができなくても、なにもできないわけじゃありません。こんな時だからこそ、いつまでもお祭りを安全に楽しく続けられる方法を考える時だと思います。

■山車は「囃(はや)す者」の道具

長い間つかう山車に必要なのは突出した技術や変わったアイデアよりも、これから「長い目で、山車をどう守っていけばいいのか」という”保存・修理の計画”です。

山車・屋台は土地の神様に楽しんでもらうことを目的とした「囃(はや)す者」の道具のひとつとして産まれたものです。だから建立当時の先人の想いや、その時の信仰心が根っこにあります。

やがてその土地に生まれた自分が”たまたま”使わせてもらっている。そして次の世代に正しい形で残し伝えたいという大きな流れがあります。だからこそ「建立当初の姿」を基本として修理方針を考える大切さがあります。

”思いつき”や”良かれと思って”の断片的な修理・改造を繰り返してしまったために、ドンドンおかしな方向へ改造されてしまった山車・屋台もたくさん見てきました。

こうした断片的な修理は見た目に違和感を与えるだけでなく、お金のムダもかなりあります。昭和平成も遠くなり、今では持続可能な開発目標(SDGs)なんて言葉も流行っています。お祭りも例外ではなく、徐々に変えるべき部分もあるかもしれません。でも、変えちゃいけない根っこの部分はやっぱりあると思いませんか?

■今こそ、みんなで山車を点検してみよう(点検表ダウンロード)

山車がいま、どういう状態で、これからどの順番でどう修理をすればいいのか。それを知るための点検です。ぜひ、山車をそんな目で見てみましょう。

祥雲で使用している点検表と同じものを掲載しますので、ぜひダウンロードして使ってください(PDF:1.0MB_A43枚)


 実践編① 足廻りと構造

さて、ここからは山車を点検するときのちょっとしたコツや指標みたいなものをお伝えしたいと思います。

山車の構造の強さは「ほぞ(木と木の接合部分)」が効いて、揺れた時に柱がぐっとしなって元に戻る力があればかなり安心です。山車の床面にのって前後左右に揺すってみましょう。感覚的なものなので感じ方に差はありますが「怖いな」と感じたり「傾いたまま」になったり「前後は大丈夫だけど横揺れがひどい」などありませんか?こうなると動かすたびに様々な部位にひずみが生じ、材料が割れたり彫刻にまで影響が出ることもあります。ぜひしっかりとした点検をおすすめします。

足廻りはシンプル「しっかり走るかどうか」が大切です。部材は良くてもまっすぐ進まなければ意味がありません。ゆるみや材料の点検と共に、曳き回しに支障が無いか確認してみましょう。

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点検を通して、みなさんの山車がどのように修理されてきたかを感じることができますし、みんなで点検するのも楽しいですよ。

 実践編② 高欄

高欄はひときわ目を光らせて下さい。人の手がかかる(場合によっては足も)繊細な作りの部材ですから、老朽化による突然の外れはとても危ないです。多くの場合はボルトなどで応急処置してありますが、穴も開いてしまい外観も良くありません。

上の写真のようなほぞの抜け具合を見てください。もし危ないと思ったら無理せず、ぜひ相談してください。

 実践編③ 金具・幕

安全面に直接的に関わる部分ではありませんが、幕や金具などの「懸装品」の点検も必要です。とくに幕に関しては傷みが進行する前に「新しい安定した生地へ刺繍を移し替える」という修理方法があります。作り直すにはお金もかかるし身動きが取れずこまっているというお話よくききます。今では考えられないくらい手のかかった刺繍などもひょっこり残っていたりします、こういうものはぜひ後世に残していきたい宝ものです。

 実践編④ 彫刻

木彫刻のページでもご紹介していますが、ちいさなカケ・割れなどはどうしても生じます。人が乗り、うごくものですからある意味しかたありません。見てほしいのは「取り付け部分」。カタカタになっていませんか?曳行中に落下してしまうというお話もよく聞きます。

蛇足ですが、ポロっと落ちた彫刻の一部を誰かが「やべっ💦」っと呟きつつポケットにしまい込んで、そのまま行方不明・・・なんてこともあります。拾った人は悪びれることなく「彫刻落っこちたぞ~!」と声をあげましょう。とあるご町内では「落ちた彫刻回収ボックス」が山車に装備されていましたよ。回収ボックスがたまったら、修理させてくださいね(笑)

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さて、具体的には、彫刻の折れているところを探すだけではなく。しっかり取り付けられているかどうか、裏側の取付部分を見たり、正面から見て丈夫な部分をもって軽く引っ張ってみたりと負荷をかけて外れないかどうか、確認してみてください。

あとは保管方法、山車に付けたままでしたら山車全体に布をかけ汚れ防止を、庫内にバケツで水を張っておくなど乾燥対策も長期的には効果的です。木箱に仕舞っている場合は比較的安心です(出し入れの時に折る可能性はありますが)。

気を付けて見てほしいのはやはり取り付け方。毎回ねじ留めしていたりするとどんどん痛んできますから、ぜひ見直してみましょう。

 実践編⑤ 綱や房など懸装品

運動会でお父さんたちが綱引きをしていたら突然綱の真ん中からブチッ!っと切れて、あ~あ、みんなころんじゃった・・・って光景見たことありませんか?あれは体育用具室の地面に直においていたため、土の中のバクテリアに繊維が分解されてしまったからです。曳綱も同じく、長いあいだ地面に放置してはバクテリアの餌になってしまいます。最低でも山車の上に、できれば専用の場所を用意して撚りが戻らないよう巻き付けておきましょう。


ざっくりですが点検のポイントをお伝えしました。ぜひ点検表を印刷して、みんなで点検してみてください。くれぐれも安全とグリスには気をつけて下さいね!


■修理・保存の計画をつくる

点検はした、けどこれからどう計画していこう。ここからはなかなか難しい問題です。どの順番で?どんな方法で?いくらかかる?これを整理できれば見えてくるものがだいぶ多くなります。ぜひ、祥雲にそのお手伝いをさせてください。

祥雲では、点検のあとに「点検報告書」と「修理・保存計画案」を作成しています。修理と保存の道筋を考えておくことで、修理のダブり・間違った手段や方法などのムダをなくし、結果的にお金を有効に活用できる指針になります。

私たちは ①伝統的な技法・材料を用いる ②根拠のない方法は選ばない ③建立当初の姿を尊重する この3つをモットーに山車修理・改修に取り組んでいます。

有料にはなりますが、図面の製作も可能です。お祭りができない今だからこそ、山車を守っていく指針になる保存計画をもっておいて、町の皆さんで共有する。とても良い機会だと思います。

■くわしくは、こちら

祥雲で行っている点検と修理保存計画のこと、費用、点検を行うまでの流れについてこちらをごらんください

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今回は少しマジメにブログを書いてみました。ご縁がありましたらぜひ山車点検の時にお会いしましょう(笑)

それでは!

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