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山車改修工事「護王車」(愛知県半田市)
明治41年建立。前壇彫刻は「護王の夢物語」や「力神」をはじめ初代彫常「新美常次郎」の作。知多型山車の改修工事をご紹介します。

■ はじまりは力神の修理から

はじまりは力神の修理から
護王車の力神。長きにわたり山車の重みを支えてきましたが、前山全体の下がり(前傾化)のため、指が折れてしまいました。修理はしたものの、また折れてしまう指。やはり前山の下がりをどうにかしなければいけない。力神修理が改修工事のきっかけになりました。

■ 台輪新調

台輪新調 -天然乾燥11年の欅-

山車は材料が命。台輪(だいわ)と呼ばれる土台の材料です。長さ、厚み、幅はもちろん、木目の出方全てが揃わなければ使えません。この大きさになると樹齢は200年以上の大木。良い材料との出会いは縁のようなものです。

■ ”仕口”に掛ける手間

 ”仕口”に掛ける手間

木と木との接合部分を「仕口(しくち)」と呼びます。単に”穴に棒を差し込んでいる”だけではありません。内部で木材同士が”効いて”いなければ仕口とは呼べません。外からでは見ることのできない精度がこの仕事には必要です。

■ 煮黒目による、兜金新調

煮黒目による、兜金新調

草の「兜金(かぶとがね)」”兜の厚みは5ミリなきゃいかん”長老の言葉に応えるべく試行錯誤して完成させました。正面の文字は先々代の兜金の文字を再現。地板の黒は煮黒目(にぐろめ)と呼ばれる古い技法を再現しました。

■ 彫刻の命は下絵にあり

彫刻の命は下絵にあり

護摩隠し彫刻「波千鳥(なみちどり)」地面に近い部分のため、波や水辺の生き物が題材になるのが一般的です。こうした横長の材料の場合、題材の大きさ、配置を決めるのが難しいところです。

■ 台輪への摺り漆、組み上げ

台輪への摺り漆、組み上げ

加工が終わった台輪に護摩を取り付け、木質の保護と美しさのため「擦り漆(すりうるし)」を施しました。完成まであともう一息ですが、ここまで来るには材料の管理はもちろん、彫刻や金具の取り付けなど考えることは山ほどありました。

■ 先人の「想い」を100年先につなぐ

組みあがった護王車。前山の下がりは直り、新しい台輪がずっしりと、山車全体を落ち着いて見せます。新しい台輪でこれからまた100年、地域で曳き継がれてほしいと願っています。

お問い合わせ

山車・屋台・神輿の無料点検、修理、メンテナンスなど行っています。山車の健康診断(無料点検)・修理計画の作成や助成金申請のお手伝いもしていますので、お気軽にご相談ください。

    メールまたはお電話でお返事させて頂きます。

    工事内容一覧

    【木工事】

    (新調)台輪、置台輪および下駄箱
    (新調)床板
    (新調)柱貫(桜材)
    (新調)壇箱支持材(本鉄刀木)
    (修理)前山木材痩せによる前傾改善
    (修理)壇箱全解体、漆塗り組み直し
    (修理)梶棒磨き
    (修理)前山野屋根葺き直し

    【彫刻】

    (新調)護摩隠し「波千鳥」
    (新調)下駄箱「蔦」
    (新調)柱隠し板「網代」
    (新調)上山格天井「五福神」
    (新調)置台輪正・背「網代」

    【漆工事】

    (新調)台輪、置台輪および下駄箱擦り漆
    (新調)前山人形台 黒呂色面朱漆
    (修理)壇箱唐木部分擦り漆

    【金具工事】

    (新調)台輪木口金具「護王車」
    (新調)置台輪木口金具「南」「組」
    (新調)妻台輪木口金具「巴」
    (修理)壇箱錺金具
    (修理)前山垂木木口金具

    【他】

    (新調)とったり綱
    (新調)命綱
    (新調)梶棒綱
    (新調)大幕取り付け金具

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