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木材を自社で管理するということ

 

「祥雲」では、より良い材を求めて自分たちで山を廻ります。それは自分たちで木の性格を直接確認した物だけを選ぶためです。木材とは、同じ種類の木でも、育った環境でまったく性格が異なります。目的に応じた材料を選ぶことは、永年の経験と蓄積したノウハウがものを言うとても難しい仕事です。(東京営林局の入札を取得しているので直接国有林の入札にも参加しています。)

■ 木を見る前に、森を見る

木材の選択で気をつけることは、日陰で苦労して少しずつ大きくなった木を選ぶことです。力神(りきじん)や手長足長(てなが・あしなが)などの彫刻を板目(いため)に彫ると木の目が細かければ細かいほど筋肉のふくらみに細かな輪がいくつも重なり力強いものに仕上がります。でもそういう木目で大きなものが取り出せる木材は、最近はめったにお目にかかれません。それでも材料は可能な限り目の積んだものを捜し求めてあちこち廻っています。木は生きている。切り倒され、挽き割られ、乾燥され、製品になっても呼吸し続けて、収縮を繰り返しているんです。

暖かな環境で育った木材は早く生育し木目の幅も広く、充分な乾燥をさせて部材に加工した場合でも大きく収縮し(板の動きが大きい)まわりの部材とに隙間ができたり、押し合って影響しあったりします。逆に日陰で苦労して育った木材は、木目の幅も狭く、収縮差も小さく、一年を通して(四季を通して)製品への影響も小さく済むのです。

木を見る前に、森を見る

■ 5寸で5年、一尺なら10年以上。

木材の管理で一番重要なことは、乾燥です。時々「この材料は、だいぶ乾燥してるからまず大丈夫だと思うよ。」と言われる方がいますが、「だいぶ乾燥している」程度では、まず不安です。本当に大丈夫かどうかは彫ってみないと判りませんが、カラカラに乾燥させた材料でないと、ほとんどが途中で割れが入ります。

昔、仕事場の環境と仕事の進め方、木材の扱い方が勉強不足で大切な材料が割れてしまったこともありました。性格もありますが、木材はとにかく乾燥が大事。不充分なものは、彫っている途中で割れやひねりが生じるのです。

5寸で5年、一尺なら10年以上

 木材は丸太のまましばらく置いた後、目的に合わせた部材に挽き割り、材料置き場にうつします。そこで外回りの水分を飛ばすために、天日(てんぴ)で2~3年ほどかけて、乾燥させます。(お日様の光で自然に干します、機械の強制乾燥ではありません。)その後、反り(そり)が生じてきますので、もう一度材料を挽き直します。このとき、最初に厚さが7寸(21cm)あったものは5寸(15cm)位に減ってしまいます。5寸(15cm)あったものは、3寸(9cm)位に。割れがはいったものは、泣く泣く細かく挽き直します。ここでの「挽き直し」は、狂いの少ない木材にするためのとても重要な工程です。

必要な厚みに多少の余裕を見て乾燥させるぐらいでは、まずだめです。体積がかなり減りますが、省いてはいけない重要な工程です。「挽き直し」が済んだ材料はここで初めて材料倉庫に移され大切に保管されます。白太(しらた:丸太の外側の水を吸い上げるもろい部分)が腐り落ち、材料として制作できる状態になるには、平均で10年程度時間をかけて管理しています。私たちは、正確には最初に5寸に挽いた木材は5年以上かけて乾燥させています。7寸に挽いたものは7年以上かけて。でも1尺に挽いたものは10年ではとても乾燥しません。もっと、時間がかかります。とにかく、木材の乾燥はとても大切なことで、充分に時間をかけても安心はできないものなんです。