会合で意見を言う人はつい同じ顔ぶれになりがちです。一方で、何も言わない・関わろうとしない人もいます。また、寄付をつのる時、圧倒的多数の「無関心な人たち」と向き合うことになります。
この回では、その「無関心」を責めるのではなく、どう受け止め・行動すべきかを考えます。
■ 「無関心層」をやる気にさせることはできない
まず、「無関心層こそ多数派」であることを認めることがスタートです。「山車を直さなきゃ」という意識を持っている人はごくわずかです。
そして無関心層をやる気にさせることはできません。われわれ少数派チームができそうな事といえば「無関心でいにくい状況を作る」程度でしょう。
もどかしく、非協力的に見えてしまいますが、その正体は何でしょうか。
・忙しい
・仕組みがわからない
・関わると面倒そう
・自分が口を出していい立場かわからない
→ でも嫌いなわけじゃない(ここが光明✨)
選挙でいうところの無党派層。この層をむやみに熱量で引っ張る/正論で説得するのは逆効果になりそうです。「重く長い話」「役割」は避けたい。だから「一度だけ、短く」「聞くだけ(判断求めない)」ならいいよというスタンスの持ち主。
町内全体の空気が変わった時に、最後に乗ってきてくれる。そんな予測が立つかもしれません。
■ 伝え方の工夫
お祭り道具がどんな状況なのか、それは分かってもらう必要があります。問題提起のタイミングで、入口の「軽さ」が大切です。
・写真とひとこと(触ると壊れそうでした)
・昔はこうだったけど、今はこんなになってしまいました
・金額はぼかして(感覚的なものとして)伝える
議題の最初から内輪でしかわからない去年の祭の話とか、誰々さんがあーだこーだで、どこが悪いって言われて云々という話をしたとか、知らない専門用語とか、そんなのばかり出てくると「やっぱり関係ないことだな」と距離を置いてしまうでしょう。
他にも
・決まった話に後から呼ばない(わからないのに議決させられる)
・あえて検討中の意見があることを示してみる(なんとなく、自身が参加していることを感じとってもらう)
・見に来て欲しい、写真を撮りに来て、子どもを連れてきてという「責任ゼロで活動への関わりが可能」な機会があることを示す
第1回 修理と寄付の話 でもご紹介したように。これの目的は「直したいね」という課題意識を少しずつ共有してひろげていく過程になります。
■ 無関心層は「伝統」よりも「生活」を大切にしている
と、読み替えることもできると思います。間違えていけないのは、彼ら個人を「伝統への興味に導く」努力をしないことです。それよりも、彼らの「生活」の中にどれだけ「地域≒祭り」が意識される状況を作れるかの方が大切だと思います。
・子どもが地域に愛着をもっている姿
・自分が年をとったときにこの町はどうなるか
・この町に本当に残っていくものは何か
・あなたの力も必要です
こんな投げかけと問いが、少しずつ町内の空気を変えていくかもしれません。
■ ほかにできること
こんなことで空気が変わらないでしょうか
・回覧板を「お知らせ」ではなく「読みもの」にしてみる
・掲示板に、行事予定ではなく昔の写真を貼ってみる
・「次の集まり」にプラスして、「今どうなっているか」を書いてみる
状況を知ってもらうと、それぞれの人がいろんなことを考えてくれます。
「あぁ、お祭りの山車もうガタが来てるんだな」
「子どもも乗ってるし危なくないのかな」
重要なのは、「山車を修理したいという気持ちを持つ人がいる」という情報を同時にインプットすることです。お祭りをあきらめていない人がいることを伝えていきましょう。
その次の段階、無関心層はどう考えるでしょうか。
「きっとお金か労力を求められるんだろうな」
「面倒くさそうだし、関わりたくないなぁ」
ここ↑にある「だろうなぁ」をどれだけ明快に除去できるか、前回までに記載したような”仕組み”を示すことで”安心”に変えることができるかが大切です。
これは無関心層だけでなく、普段参加してくれている人たちにもプラスの意味が大きいことだと思います。
■ ~おさらい編~ 上手だなと思った例
ぜひ参考になればと思い、第一回で説明した事例をまた紹介します。すでに読んでいただいた方は、読み飛ばしてください。
まず、きちんと委員会の体制を整え(修理事業完了までの時限的な組織)代表者・役職を人選。〇〇実行委員会と名称を定めました。実行委員会はお祭り組織の一部であり、修理事業の中核となる数人(世代をまたいで)で構成されていました。
このような体制を整えても、けっして拙速な動きはしませんでした。まずはお祭りに参加してくれる人たちの理解を得ることから始め、「直したいよね」を共有し、それを広げていく努力をおこなっていました。
この裏の動きとして、並行して弊社祥雲でお見積もりをご依頼いただき、実行委員会の皆さまはその修理方法や仕様をちゃんと理解してくださいました。所有者側における施工方法の理解というのは、祥雲という業者が信頼に足るのかどうか推し量る意味だけでなく、寄付を求める段階で、住民の方に対する説得力(具体的にはパンフレットの内容に反映された)に大きなちがいが生まれました。
寄付をおねがいする手順はこうです。「修復事業ご協力のお願い」というパンフレットを作成します。厚い紙で、ごっつい印刷しても透けないものです。印刷はA3フルカラーで、二つ折りにした4ページ構成。表紙には明確に「ご協力のお願い」と記し、次ページ以降は山車の来歴(意外とみんな知らない)・彫刻の写真・作者の由来・現状と主な修理予定箇所・いきいきとした祭の人々の様子の写真を掲載。そしてこのパンフレットの一部が切り取るようになっていて、そこには寄付金申込書と領収書が事前に印刷してありました。これは初めて目にした工夫です。

申込書の近くには、”〇月〇日以降にお伺いします”と記載。”実行委員会として山車修理の為にこのような活動をしているので協力してくれませんか”と事前に理解してもらう時間を設けているわけですね。来たときに支払ってもいいし、別窓口としても一定期間は毎週土曜日の夜に会所で寄付受付をするという体制を取っていたのも本気度を感じとってもらうための大きな要素でした。
■ ~おさらい編~「よくわからない集金」から公共性のある事業に格上げされている
この例は、町内の集金とは明らかに違ったものだという印象を与えます。公共性のある、正当なものに変化させています。
・事業主体(実行委員会)が明確に書いてある
・あくまで自由意志
・金額は決めない(自己記入)
・領収書がある安心感
・厚めでフルカラーのしっかりした造りのパンフレット
・「ご自宅にお伺いします」という真摯だが、静かな熱意が伝わるテキスト
夕飯を食べた後のゆっくりした時間に玄関先で熱く説明されるよりよっぽど安心だし、現代的で信用できる方法です。地域に貢献できるという気持ちが動き始めるよう、できる限りの工夫と時間を使った例として、祥雲ではいつもこれを手本にしています。
■ 無関心層の”代表”
色々な仕組みづくりや情報共有を経て、「無関心層」の中から無関心でいられなくなった「代表者」が見つかるかもしれません。いざ、その人に役割を与えよう!という話ではありません。そういうキーマンに情報を与え続けることで静かに全体が動いていくのかもしれません。無関心層は、おなじ無関心という立場の人の言う事には耳を傾けるのではないでしょうか。
祭り道具を修理する前に、町内で一度話しておいたほうがいいこと 【 記事一覧 】
第四回 まわりの人に修理が必要だと言いたいとき(製作中)
