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お客さまの声・祥雲展

ー こちらのページではご縁をいただいたお客さまの声と、祥雲展についてご紹介します。

お客様の声1

府八幡宮例大祭 「中泉西町」 中老會

府八幡宮例大祭 「中泉西町」 中老會
伊藤隼人 杉本健彰 神谷貴充 森下貴章 様

(左より)

静岡県磐田市中泉西町の「鑾留閣の山車」は今からちょうど百年前の大正九年(1920年)に掛塚の大工坂田歌吉氏によって建造されました。その後、漆塗り、金箔、錺金具に彩られて今の姿になっております。

毎年十月に行われる府八幡宮例大祭で私たちが曳いている山車で、このたび建立百周年の記念事業として、山梨さん(祥雲代表)のところで漆の塗り直しを含む大修復工事を行いました。山梨さんとは、正式に修復をお願いする前から様々な相談をしており、建立当初の姿に戻すべく、現代的な作業方法ではなく、昔の材料をできる限り生かし昔ながらの工法で修復したいなどと、様々なお話をたくさん聞かせて頂いておりました。

彼は山車の構造だけでなく金具の打ち出し方や、漆塗りと最近良く聞くウレタン塗装との違い、刺繍の工法など、とにかく呆れるほどの知識をお持ちだったのを覚えています。例えば、山車の背面には抽斗が三杯あるのですが、その引手は建造された当時のものではないものがついていました。それを見た山梨さんは、百年前の時代に作られるであろう丈夫な鉄製の引手ということで、溶接ではない削り出しの試作品を作ってきました。引手が接触して漆を傷にしないために銅製の鋲をアタリにして、さらに塗装は焼付の漆塗りにすると言い出したので、この人は相当な変態だと確信しました。

次に、錺金具の修復では金具に施すメッキのサンプルを見せてもらいました。メッキの色や工法が何種類もあるのにも驚きましたが、そのうち「古い鍍金の被膜がもったいないなぁ」と言い出し、自分が持参したサンプルを片付けて振り出しに戻る始末。どうやら自分が持ってきた見本の色で全部をやり直してしまうのはもったいない。古いメッキの経年の風合いを残したいということだったようです。確かにどんよりと鈍い光り方をしている古いメッキは軽さが無く重厚感のある素晴らしい色合い・風合いでしたが、どう修理するのだろうと疑問に思いました。結果的に、「筆メッキ」という手法で古い塗膜を残しづつ手でメッキをつける方法で修復を行ったようです。

極めつけは、真鍮製のビスです。鑾留閣山車に使用されていたビスは全てマイナスの物。近年使用されるプラスのビスでありません。ビス一本に至るまで当時の面影を残してくださったのには、本当に頭がさがります。

真鍮製、丸頭のマイナスねじ
ー 真鍮製、丸頭のマイナスねじ

山車は、漆塗りが終わり組み直しが半分ほどの状態で中泉に戻って参りました。トレーラーに乗せられ磐田駅前の角を曲がって姿を見せた時の瞬間は感動以外のなにものでもなく、待ち構えていた町民からは大歓声!今でも忘れられません。その後二週間ほどかけて当町会の山車蔵で組み上げ、ついに試し曳きの日を迎えました。山車蔵を出た時の乗り心地は今までと全然違い、曳き廻しが終わって戻ってくるころには更に良くなり、全部の ほぞが納まるべきところにかっちり納まった感覚がありました。宮大工としての技術の高さはこうしたところに現れるのだと感動しました。

実は、一度納めてもらった山車、綺麗に仕上がって皆喜んでいる中、突然「もう一度バラして漆のやり直しをしたい」と例大祭前日に山梨さんが言い出し大騒ぎになりました。もう少し手をかけ綺麗に仕上げたいということで、お祭りが終わった後、再度脱魂式を執り行い、二度目の解体。結局二年越しの工事となりました。採算が合うのかとこちらが心配になったくらいです。

漆と言えば、漆を調査した後にオリジナルの下地がていねいな仕事でしっかり残っており、その部分は無理にはがさず、その上からあたらしい漆を塗ることができるので、金額的に安く施工できる。という話があり、それなら、ということでずっと気になっていた刺繍幕3枚を復元新調する予算に回すことができました。普通はそんな提案をしてくる業者はないと思いますがね・・・。

漆下地が丈夫だった分、費用を幕工事に充て復元新調した見送り幕(右:新幕)
ー 漆下地が丈夫だった分、費用を幕工事に充て復元新調した見送り幕(右:新幕)



当町会が最終的に修復をお願いした理由というのは、宮大工の技術以外に金具、漆、装飾品への知識や技術の奥深さ、取り付けた後の見え方や小物の保管方法など、こだわる点のほとんどに応えてくれることから、安心して頼めると判断したからでした。祥雲さんで修復をしていなければ、今の姿にはなっていないと思います。この素晴らしい町の財産を末長く大切にし、今後を担う若者へ保存継承していかなければならないと修復委員会会員全員が強く思うところであります。今回の大修復プロジェクトは、約10年掛けて話し合われてきた為、山梨さんには様々なお話を聞かせて頂き、数多くの”本物”を見せて頂きました。我々のワガママや無知による無理難題も聴いてくださり本当にありがとうございました。これからも末長く宜しくお願い申し上げます。

最後に、山梨さんのあの調子だと、ちゃんと商売になっているのかだけが心配です。

>>「鑾留閣の山車」改修工事のページはこちら<<


■ お客様の声2

川越まつり「旭町三丁目自治会」
会長 細村宏 様

当町内が祥雲さんとご縁を頂いてから、まだ5年程度の歳月しか経っておりませんが、私共は、ずっと昔からお付き合いを頂いているような錯覚を覚えます。それだけ密度の濃い時間を共有して頂いたことによるものだと思います。

祥雲さんは、当町内の「信綱の山車」を、恐らくどこの誰よりも、もしかしたら、当町内の人間よりも細部までご理解頂いているのではないでしょうか。この5年間に行われた修復や彫刻新調では山車全体のバランスを損なうことなく、それでいて、圧倒的な迫力と細部まで精巧に刻まれた技法はもとより、使用して下さった、材の木目や品質に至るまで、一切の妥協を感じません。その妥協のない頑な姿と、一方で常に真摯に、正直に私共のわがままに向き合って下さった人となりに全幅の信頼を寄せております。

旭町三丁目「信綱の山車」の上から見る活気ある川越まつりの様子
ー 旭町三丁目「信綱の山車」の上から見る活気ある川越まつりの様子

新時代を迎えて、当町内「信綱の山車」は更なる飛躍を控えております。今後、どのようにプロデュースして頂けるのか、町内老若男女、皆が楽しみにしております。山車の彫刻・漆塗り・箔押し・彫金と、ほぼ全ての工程を自社で完結できるのはおそらく国内で祥雲さんだけではないでしょうか。

面倒見よく、永くお付き合い頂けると確信しております。祥雲さんの今後益々の ご活躍を心よりご祈念申し上げます。

>>「信綱の山車」改修工事のページはこちら<<


祥雲展

祥雲展
さて、ここからは祥雲の製品や伝統技法の展示会「祥雲展」についてご紹介します。山車にくっついてしまうとあまり感じられない手仕事の”現場感”を少しでも伝えたい!という目的で「伝統技法に”触れる”二日間」をテーマにしました。
入口看板
前日の準備に伺うと、素敵な入口看板がっっ!なんと、会場を使わせていただいている中泉西町のみなさんが用意してくれました。お祭り人の機動力の神髄を見た気がします。そして虹!なんだかいいことありそうです。
西町の皆さんや展示品をお借りした方々に感謝
当日は朝から大賑わい。会場がいっぱいになるほど多くの方にお越しいただきました。祥雲スタッフだけでは説明しきれないので、西町の皆さんや展示品をお借りした方々の力を借りて対応しました。感謝!
錺金具・漆・彫刻の見本を展示
錺金具・漆・彫刻の見本を展示。一部は直接触ることもできます。漆のしっとりとした手触りと何とも言えない匂いを感じることができますよ。
壇箱と力神、新美常次郎作
なんと!愛知県知多半島からは壇箱と力神の一式をお借り・展示することができました。山車の”顔”と言える彫刻をお借りできたことは大変貴重な機会となりました。新美常次郎作
脇障子彫刻「三国志」より阿斗(劉禅)と趙雲
脇障子彫刻「三国志」より阿斗(劉禅)と趙雲。袋井市の祥南車さんからお借りしました。祥雲作
高栄社さんの刺繍幕「黄芭旦図」
高栄社さんの刺繍幕「黄芭旦図」、オウムですね。この構図の見送り幕はまさにオンリーワンの製品だと思います。祥雲作
600人の方々にご来場
二日間で実に600人の方々にご来場いただきました。写真では混雑しているように見えますが、ピーク時はもっとぎゅうぎゅうパンパンでした。
漆塗りのプラモデル
会場にはこんなものまで、漆塗りのプラモデルです。実は、漆は真っ白色が出せません。漆本来が茶褐色だからです。少しベージュがかった色になります。”連邦の白いモビルスーツ”は”連邦のベージュのモビルスーツ”になりますのでご了承ください。
祥雲展
遠方にも関わらず川越からここ静岡まで足を運んで頂きました。今回インターネットでお知らせさせて頂いたのですが、兵庫・愛知・埼玉など本当に遠方から祥雲展のために足を運んでくださった方々がいて、もう泣きそうです。
山車の特別展示
さて、表では山車の特別展示。今日のために全面協力を頂いた西町のみなさんに感謝!竹の柵も手作りです。
お囃子の披露
そして子どもを中心としたお囃子の披露。遠方からのお客さんの中には自分たちのお囃子との違いを楽しんでいる方もいました。
木であそぼうコーナー
日頃のお仕事で出た端材を集めておいて木であそぼうコーナーを作りました。端材でも天然乾燥10年以上の良材。マグロでいえばトロの部分ばかりです。
和装、和雑貨のお店
和装、和雑貨のお店も。会場の活気・熱気を少しでも感じて頂けたら幸いです。

■ 次の祥雲展は、ぜひ川越で!

愛知・静岡と開催してきた祥雲展。次はぜひ川越で!開催できるよう、日々努力していきたいと思います。その節はどうぞよろしくお願いいたします。

【展示にご協力いただいた皆様】

大泉 「呂洞賓」見送幕(静岡県磐田市)
川井中町 「波千鳥」「獅子・獏」彫刻(静岡県袋井市)
高栄社 「黄芭旦」見送幕(静岡県磐田市)
瀬木区 「台輪波彫」彫刻(愛知県常滑市)
西町 「鑾留閣の山車」「松に鷹」「昇龍(鯉の滝登り)」(静岡県磐田市)
堀越下 「三国志」脇障子彫刻(静岡県袋井市)
上半田北組 「鷺」彫刻(愛知県半田市)
下半田南組 「壇箱」「力神」「兜金」(愛知県半田市)※五十音順

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