祥雲です。いつもブログを見ていただいてありがとうございます。今回は長野県塩尻へ彫刻修理ほか御用を頂きましてお邪魔してきました。
■ 上町の舞台
ここ塩尻では山車=「舞台」と呼んでいます。形式としては四輪内輪の二層式で、上段には高欄が回され人形が乗り、端正な破風が山車の全体像をきりっと印象付けます。

上段屋根と一層目のひさしが”むくり”になっているのが他町も共通で特徴の一つとなっています。直線だけになりがちなところに曲面があることでやわらかい印象を与えています。

山車人形は雲長、蜀の英傑関羽ですね。

上の高欄四隅に施された雲龍の錺金具。意匠だけでなく材料の厚みもあり、見せ場はここといわんばかりです。

今回、山車全体の錺金具の枚数をカウントしました。結果はおよそ750枚。大小ありますが、大きいものもかなりの数にのぼります。これだけ数があると、普段は引立て役の錺金具が今日は主役という感じです。

車輪は四輪内輪式、ケヤキの板目を三枚重ねた「接ぎ合わせ」の材料を鉄のタガで締めてあります。

上町の彫刻たち。この舞台(山車)には先代があったそうで江戸後期の建立と言われています。それに取り付けられていた彫刻が継承されています。作は立川音四郎種清、長野と言えばあこがれの立川流彫刻です。




■ 彫刻の修理と取り付け
今回は正面の持ち送り「鷹一対」の欠損部を修理させて頂き、取り付けを行いました。




意外と意識されていない事ですが、修理のために使う材料(補材)はどんな材料でもいいわけではありません。この彫刻が100年前のものだとしたらどうでしょう、昨日切ったばかりの木は使いません。10年経ったものも使いません。100年経った木を使います。
同じような時代に育ち、同じくらいの時間を過ごした材料を補材にすることで、より周囲となじむ存在となり、結果的に狂いの少ない、良い修理になる可能性が高いからです。




取り付けを終え修理完了です。
塩尻のおまつりは7月の第二週。1300年以上の歴史ある阿禮神社の例大祭です。静岡の7月とはちがって過ごしやいでしょうか。
余談ですが、修理自体は冬の時期に終えたのですが、われわれ静岡県平野部の民には雪道が怖いのと、マイナス10℃という情報におののいて5月の取り付けとなりました。帰りに美味しいおそばを頂き、後ろ髪を引かれつつ高原を後にしました。

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