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新造天幕「鸚哥(インコ)窓景図」仕上がりました

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こんにちは、祥雲です。

9月なのに熱中症になりそうな2024年、それでも秋祭りの足音はすこしずつ近づいています。

さて、私たち祥雲が10年以上温め続けていた図柄の天幕が完成したので、ご紹介したいと思います。

■ 磐田市中泉京見塚「高栄社」

当ホームページでも時々ご紹介しているこちらの山車は、大唐破風の御殿屋台。ここ中泉には二輪・四輪が混在する地域です。

今回の幕制作に先だって見送り幕「黄芭旦図」を背面に入れさせてもらっています。その上で今回ご紹介するのは、山車左右に「天幕」となります。

■ 先に、見送り幕「黄芭旦図」

見送り幕「黄芭旦図」きばたんはオウムの一種で頭の上に黄色の羽があるのが特徴です。大きい個体だと60cmくらいになる大型のオウムで、日本にはいない鳥です。貴重な鳥であるという事から、豪華なとまり木・えさ台に乗っている構図になっています。

背景を濃紺にすることによって、白い体が浮かび上がり、より印象的に見えるように工夫をしました。この幕を入れさせて頂いたのが2016年ですから、早いもので7年以上が経ってしまいました。そんなにたつのかー

こだわったのは色糸の”ぼかし”。細かく糸の色を変えることで陰影と本物感を与え、より写実的なものに見えます。逆に、上右写真のカップ(えさ台)は濃緑・黄緑と徐々に色が変わるグラデーションの部分に「相良刺繍」という一粒一粒を縫って面積を縫いつぶしていく手間のかかる技法で仕上げ、「これは手間がかかっているぞ」という心意気に注目してもらう部分です。

■ 新造天幕「鸚哥(インコ)窓景」

トップ画にもしている、お気に入りの構図。

赤色の羅紗に、金糸の相良刺繍(!)で窓枠を作り、そこからカラフルなインコが身を乗り出すように下を見つめています。制作にあたって、私たちの方で下絵・色指定・構図(大きさと位置)まできっちり意図が伝わるような膨大で正確な資料を作ります。だからこそ、イメージ通りのものができてくるわけです。

上は縫製前の状態ですね。

糸は絹糸を染めたものを使っています。彩色した下絵のどおりに色分けできています。もちろん本物のインコの色を参考にしていますから、ふわふわ感など刺繍でなければ表現できないものがここにあります。

黒いこの子も葉っぱを咥えてよそ見しちゃって、愛嬌がありますよね。

■ 取り付け工事

最後の肝が取り付けです。しっかり取り付けできなければ元も子もありませんので、計測通りぴったり山車に取り付けられるかどうかは本当に息が詰まるほど緊張する瞬間です。特にこの山車には獅子の木鼻彫刻があり、両端がかなり下がっています。かといってこの獅子の下に幕の高さを合わせると、すごく下付きになってしまうという状況でした。うまく獅子をかわしながら、柱の外々よりも少し出るくらいの、絶妙な取り付けができました。これができてようやく一安心です。

■ まだお祭り前ですが・・・

最初に、この図柄を10年間温めていたと言いましたが、色々な地域の色々なお客様に何度か提案して、いずれも採用には至らなかった経緯があります。それは山車の雰囲気とか、獅子が好き・龍が好き、地域の由来の相違など理由はさまざまでした。

なので、高栄社の皆さんがこの絵を気に入ってご注文いただいた時には、やはりこの山車に入るべきだったんだなと思いました。見送り幕に「黄芭旦」側面の天幕に「鸚哥」、華やかで可愛らしく、荘厳さもあるたくさんの鳥たちが山車と町内を彩ってくれるものと思います。

(今後、お祭りで撮影したものを追加予定)

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