いつもブログを見て頂いてありがとうございます。今回は閑話と申しますか、お祭りの道具「采配:さいはい」についてがテーマです。
采配。かつては戦場で軍配と同じように指揮を執るために振るわれた物で、柄の先端に紙・布・皮・毛などが取り付けられています。色々な資料を眺めていると、指揮を執るための道具でありながら、けっこうな割合で装飾的・アクセサリー的な意味合いがどうも大きかったような印象を受けます。

検索をかけてみて分かったことですが、こういった道具はコスプレ需要もあるみたいです。コスプレといっても甲冑を来て、古戦場イベントなどに出ている方々のものですから、本物感・歴史感は大切にしたいところであります。
さて、私たちが実物を目にする機会というのは博物館や資料館、お城などの展示かなと思います。そういう物はほとんど名家から出たものですから柄には漆がぬられ、金銀の精緻な加工の錺金具が施されたり、采(幣)の部分には染めた毛や、金箔を押した紙など、その意匠にオリジナリティと共に、戦場での”我ここに有り”という思いが込められているように感じます。
とりもなおさず、甲冑や兜などの色とりどりなるさまを見れば、采配にも同じものを求め見出すのが自然ななりゆきでありましょう。
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さて、今回制作したのはお祭りに使用する道具となります。その年の宰領などと呼ばれる、つまり運行責任者の役職者にその存在と権威を与える道具です。

欅の柄、金織布の采(幣)を素材として、木部には漆を摺り仕上げとしています。落ち着きの中にも華やかさのある色の組み合わせとなっています。欅も天然乾燥10年以上の木目の積んだものから選び、なるべく反らない、割れないような素材を選定しています。上の写真のものは、通常の采配よりも柄が長く60センチほどもあります。これには理由があって、運行役の背中に差しておくことが多いため、通常サイズの柄だとちょっと短いのだそうです。この長さだとちょうど采(幣)が方の上あたりにくるので、つまりは格好が良いということです。
采(幣)の部分は切り裂いた布などでも良いそうですが、どうしても振っているうちにほつれがどんどん進み、けばけばになってしまいますので、細い金織布を探し採用しております。中心となる木も中央がくびれた特殊な形状になっていて、寸法を決めるのに悩んだ点でもあります。

金織布は中央の木(名前忘れました)に糸で巻き付けていきます。十分なボリューム感が出たら、糸でぐるぐる巻いて〆ます。あとは向きに気を付けて柄と取り付けるだけです。


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以上、誰が作ってくれるのかわからないもの「采配」の制作を祥雲にてうけたまっております。柄の長さ、素材、塗り、金具、采(幣)の素材などなど、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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