こんにちは、祥雲です。
今回は、祥雲の彫刻のお仕事についてご紹介したいと思います。舞台は旧小笠町(現:菊川市)の嶺田(みねだ)。江戸時代、水不足に悩まされる郷土のため、中条右近太夫という農民が幕府に直訴し(自身は処刑されながらも)完成したと伝わる嶺田用水があります。思いを巡らせると、胸が熱くなるような偉人の逸話ですから、ぜひ調べてみてください。
■ 中嶺田の山車
嶺田で曳かれる山車のうち、祥雲が彫刻を入れさせていただいた山車が中嶺田の山車です。はやいもので今から20年ほど前のことです。
目にもまぶしい花かざりで埋め尽くされた屋台。静岡県外の方は、この形式の山車を目にすることはあまり多くないかもしれません。「花屋台」とか「一本柱万度型」と呼ばれ、二輪の上に腰枠が乗り高欄が回されます。きれいに染めた紙のお花を竹に付け、各町それぞれのこだわりとセンスを持って飾り付けられています。
このような一本柱万度型は「江戸の天下祭り」の山車の原型とされていて、それゆえにとても古く貴重な歴史を継承しているのです。
■ 最高の材料で力神を
さて、中嶺田の山車の彫刻は祥雲にて製作させて頂いたわけですが、その中でも忘れられないお仕事として紹介したいのが山車背面の大太鼓を下で支える力神です。
この力神、芯去り材(木芯が無い)で木目がひじょうに細かく積みかさなり、樹齢は軽く200年を超えるような大きさのケヤキが材料です。普通は この幅×この奥行 の芯去り材はそうそう取れませんし、長い時間をかけて天然乾燥したもの、となれば滅多にお目にかかれないはずです。
お腹・肩・おでこなどに出てくる木目もきれいな等高線を見せ、腕の筋肉・足の筋肉・背中の筋肉(つまり裏)までしっかり彫ってあります。
古今東西、一番かっこいいと思う力神に挑戦させていただいたもので、大トロと言うべき良材を使いました。
永遠に落ちない筋肉で嶺田の守護神として悪に睨みを利かせてほしいです。
■ 嶺田神社祭礼
10月第二週が嶺田神社の祭礼です。山車の一輌一輌がお宮を前に囃子を奉納し、最大の特徴である花かざりを山車ごとゆすって動く姿は唯一無二だと思います。
今年(2024年)は晴天に恵まれ、桃色の花と抜けるような青空が美しく、郷土の偉人がつないだ土地の歴史と相まってすばらしいお祭り風景となりました。
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